青色申告制度について
事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務をおこなう個人事業者が一定の水準の帳簿を備えて、その記帳内容をもとに青色申告決算書を作成し、確定申告書に添付して申告することで、有利な取扱いがおこなわれる納税制度です。
青色申告制度の適用を受けない方は白色申告となります。
青色申告の主な特典
青色申告の特典のうち主なものを紹介します。
1.青色申告特別控除
青色申告者は最高65万円または最高10万円を所得から差し引くことができます。
青色申告特別控除65万円の適用を受けるには以下の要件を満たす必要があります。
- 事業所得または事業的規模の不動産貸付けによる不動産所得がある
- 正規の簿記の原則(複式簿記)にしたがって取引を記帳している
- 貸借対照表を添付して確定申告書を期限内に提出している
- e-Tax(イータックス)で確定申告書及び青色申告決算書等のデータを提出(送信)するか、仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存法による備付け及び保存をおこなうこと
※従来の65万円控除の適用要件のみの場合は55万円の控除額に引き下がります
2.青色事業専従者給与
青色申告者は同居する家族従業員への給与を必要経費にすることができます。
(税務署に届出書の提出、従事可能な期間の半分超を専ら従事している、労務の対価として適正な金額であること、事業的規模でない不動産所得者は対象外といった一定の適用要件があります。)
3.純損失の繰越控除
事業から生じた赤字(純損失)の金額を、その年の翌年以後3年間に渡って順次各年分の所得金額から差し引くことができます。
他にも納税者にとって有利となる様々な特典があります。
青色申告するための手続き
青色申告を始めるようとする年の3月15日まで(1月16日以降に新たに事業を始めた場合は開業日から2か月以内)に納税地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。
青色申告者の記帳方法と帳簿の保管
青色申告者は、日々の取引状況を複式簿記あるいは簡易帳簿で記帳します。
複式簿記 | 簡易帳簿 | |
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記帳方法 | 貸借対照表を作成できるように、現金の出入りや収支の状況だけでなく資産、負債に影響を及ぼす一切の取引を仕訳により記録します。 | 家計簿と同じような形式で、現金の出入りと、売上、仕入、経費等の動きを記帳します。 |
備付帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳など | 現金出納帳、売掛長、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など |
次の備付帳簿・関係書類を一定期間保管する義務があります。
区分 | 保存が必要なもの | 保存期間 |
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帳簿 | 記帳方法に応じた備付帳簿 | 7年 |
決算関係書類 | 青色申告決算書、棚卸表など | 7年 |
現金預金関係書類 | 領収書、預貯金通帳、小切手帳、借用書など | 7年(※) |
その他の書類 | 納品書、請求書、送り状、見積書、注文書、契約書、領収書控えなど | 5年 |
※前々年分の所得が300万以下のときは5年